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【田中】 先生は診察の時、患者さんの親に、
必ず期待がもてる何かを手渡しますよね。
それは、親の不安に対する「大丈夫です」という言葉だったり、
少しでも良くなるための可能性だったり……。 |
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高橋 |
可能性があるのに、すべてを否定するなって思うんだよ。子どもを消すわけにはいかないんだから、なんとかして少しでも可能性をつくりだしたい。標の場合(裂脳症)は重度だったから、チャンスに賭けるしかなかったんだけどね。
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徳永 |
最初に会った時、すべてが初めてのことだったので、先生と話していても「納得した。全部お任せします」という感じになれなかったんです。それで、二回目の診察の時にたくさん質問を持っていったら、先生は、すべて答えてくれたんです。それから、診察前には必ず質問を用意して行くようにしました。
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高橋 |
親に「全部任せて大丈夫かな」って思ってもらうことがすごく大事だったんです。それはね、治療では、お互いに助け合わないと駄目だから。僕一人で治療しているわけじゃなくて、親も含めてみんなで治療していくから、僕一人におんぶしちゃったら駄目。親が「自分ががんばらないと駄目だ」と思うくらいの方が大事だと思っています。
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徳永 |
その時は「本当に、この先生で大丈夫かな?」って思ったんですよ(笑)。でも、そう思わせることがこの人の技なんだ、俺一人に任せるなよ、標のために一緒に闘うんだぞ!っていうメッセージでもあるんだなと、後になって気がつきました。
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高橋 |
第一回目の診断は、単純に告知してわかったかどうかじゃなくて、この先のことを一緒に決定していくための準備。これから先、親も一緒に闘っていくことが大事だと思うから。 |
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