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武部さんは現在、多方面でご活躍されているとお伺いしています。その活動について、具体的に教えてください。 |
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武部 |
現在は札幌市のコミュニティーFM『三角山放送局』で、ラジオDJをさせていただいています。番組を担当してからはもう、4年目になりますね。番組内の特別企画として登山もしたんですよ。当日は約150名のリスナーが「一緒に登る」と集まってくれました。自分の力で山頂まで登ったことにも、多くの人が一緒に登ってくれたことにも感動しました。
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橋 |
未来はどんなことにでも、ひるまず挑戦するよな。すごいことだと思うよ。
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武部 |
でも実は、私が積極的に物事に取り組むようになったのは社会に出てからなんです。 |
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高校生の頃は自分の「みらい」が見えなかった。どうやってこれから生きていくのかをじっくり考えたくて、卒業後、母と二人旅をしたんです。その時母に、「未来は自分のことを認めていない」と言われました。確かにそれまではどこか自分自身をあきらめているところがあった。 |
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だけど、「自分をかわいがらないで誰があなたをかわいがるの」という母の言葉に「本当にそうだな」と思いました。母に今までの悩みや辛さを全部吐き出して、いっぱい涙も流しました。
そこでふっきれた。「やらないで後悔するより、なんでもやってみよう」と思えるようになったんです。そこからですね、どんなことにも挑戦するようになったのは。
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橋 |
自分を真正面から見つめて、結果、自分に誇りを持ったんだな。「I'm Proud of myself」だ。
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武部 |
椅子に座って行うフラダンス『チェアフラ』も、そうした気付きの中で始めました。私の母はフラダンサーで、私もダンスが大好き。「私も踊れたら…」とずっと思っていましたが、杖がないと立てない私にダンスは無理だとあきらめていたんです。だからチェアフラに出会い、「私も踊れるんだ!」と思った時はうれしくて仕方がなかったですね。始めてから4年半ほどになりますが、たくさんの方と一緒に踊りたくてサークル活動も行っています。
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橋 |
今年は、「いけまぜ夏フェス(※3)」でチェアフラの講師もしてくれたね。約1200人の参加者と一緒に踊ってくれた。
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武部 |
声をかけていただいた時はうれしくて、二つ返事でお受けしました。踊るよろこびをたくさんの方に感じてもらうことができ、良かったです。また、私もずっといけまぜ夏フェスの参加者だったのですが、今回裏方にまわったことで、このイベントが想像以上に多くの方に支えられていることを知り、いい経験ができたと思っています。
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橋 |
いけまぜ夏フェスにも、社会にも、根底に助け合いが必要なことは変わらない。俺は、子ども達には社会の中に「いる」だけじゃなく、積極的に社会参加して周囲にプラスの影響を及ぼしてほしいと願っているんだ。イベントに参加している子ども達は、今は支えられる側だよな。だけど大きくなった時には、未来のようにスタッフとして参加してほしい。つまり、支える側になってほしい。自分の能力を活かして誰かを支え、社会に貢献するということが、真の意味で、社会の一員として生きていくことだと俺は思うんだ。
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武部 |
私はいろんなことに取り組むようになって世界が大きく変わりました。今は毎日がとても楽しい。だから、これからは私の体験や、挑戦する姿を通して、「我慢しなくていいよ。自分の心に素直になろう!」と、多くの人に伝えていきたいと思っています。以前の私のように、可能性を自分自身で閉ざしてしまっている人達が、本当の自分を解放するきっかけになりたいんです。
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橋 |
すごくいいね!未来の場合は、生き様そのものが、同じような人生を歩む子ども達に勇気を与える。多くの偏見を取り払い、社会がより良く成長していく力にもなっていく。何事にも真っすぐに挑んでいく未来の姿を、俺はとてもまぶしく感じていたんだ。
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誰もが未来のように、自分らしく輝いていける可能性を持っている。社会に参加して、社会を変えていけるパワーを秘めている。だけど困難や壁はまだまだあって、それを打ち破らなければならないこともたくさんある。だから子ども達は俺にとって、「戦友」ともいうべき存在。彼らの「みらい」をつくるために、これからも俺は、一緒に戦い続けたいと思っているんだ。
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※3 1997年から続く、「NPO法人にわとりクラブ」が主宰する障がい児と周囲の人々、ボランティアスタッフ、開催場所周辺地域の人々がともに活動する「障がい児のアドベンチャースクール」
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◎この対談は平成24年9月に行いました。
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「義男の空」第7巻の巻末の
「巻末特別対談」に収録されて
います。是非ご一読ください。 |
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